地獄の真のはじまり Ⅰ

Prologue―――――――入学

あれが起こる一年前、俺らは中川高校に入学した。

山口とは中学時代からの親友だった。

中川高校にも一緒に受験した。

そして今、クラス配分の印刷されたプリントが、配られていた。


Episode1―――――――出会い

――――――一年十五組

長谷川雄(以下俺。まあ、そもそも自分のことをいちいちフルネームで呼ぶ奴なんていないと思うが。)
と山口健(以下山口。めんどいし。ああ、山口県でも俺はいいと思う)
は、一年十五組に運良く二人揃って配分された。

「相っ変わらず俺たち、悪縁強ぇよな」

山口がそう切り出した。

「まあ・・・、中学の3年間ずっと一緒のクラスだったしな」

悪縁という言い方はどうかと思うけど・・・

そこに担任が勢いよく教室の扉を開けて入ってきた。

「はいあい。座って座って。ホームルーム始めるよ~」

扉を開けた勢いとは裏腹に柔らかい口調でしょぼい風体のおっさんが入ってきた。
そして黒板に何かを書き始めた。

『田中耕一』

それは俺らのクラスの担任の名前だ。

「えーと、自己紹介をします。
おじさんの名前は田中耕一です。もうすぐ五十っちゃいです☆
ちなみに美人の妻がいます。
そして愛車の名前は『マークⅡワゴンターボレーシングスペシャルクオリス』です☆」

・・・・・・なんだろう、この人の話し方にはどうにも慣れそうにない予感がする。

良い歳したおっさんがわざとらしく幼口調でしゃべっている。
背筋が凍るような気分だよ・・・・・・

「ちなみにあだ名は『ヤング田中』でお願いね。
過去の生徒の中には『ぺヤング田中』とか言っている人もいたけど、間違えないように――――」

まだべらべらとしゃべり続けているあたり、話好きなようだ。

「(なぁ、あのおっちゃんのしゃべり方、どうにかなんねぇかなぁ?)」

隣の席の山口が囁いてきた。

「(さぁ?今度職員室にボイコットしてみる?)」

勿論二人とも本気ではない。・・・・・・本当ですよ?

「じゃあ、また明日会おう。バイチャー☆」

微妙な雰囲気のままHRが終わった。

「んじゃなー」

山口は一足先に帰って行った。・・・・・・て早っ!
HR終わってから五秒プラス半ってとこですよ!

「はぁ~。先が思いやられるよ・・・・・・」

そのとき、ふと目に入った女子がいた。

――――――――それが、彼女らとの出会いだった。

「あのさ・・・・・・」

「何?」

「いや・・・何でもない」

「?」

なぜ話しかけたのかは、自分でも意味不明だ。
・・・・・・う~ん、なぜだろう。

「どうしたの?」

「あ、優ちゃん。いま、なんでか分からないけど、話しかけられたの。」

若干不安そうな表情で優ちゃんとか呼ばれた女子に話を振っている。
そりゃ不安(不審)に思うのも無理ないと思う。少なくとも俺なら不審がる。

「ねえ、どうしてユキに話しかけたの?」

例の優ちゃんにそう言われ、俺、困惑。
そして返答に詰まること五秒。

「いや、本当に意味はないんだ。自分でも疑問なくらいに。」

「あ、そう。帰ろユキ。」

「あ、うん。あ、ちょっと待って~」

・・・・・・行ってしまった。自分でも話しかけた意味が分からないのだが、何だかやるせない気分になった。
・・・・・・なぜだろう?

山口も帰っちゃったし、仕方ないから一人で帰るか、と思い、俺は帰路についた。

――――――――――――――それが、あの岸上雪乃と、秋元優との出会いだった。

次の日――――――

この日は普通に授業がある。まあ、午前授業なので嬉しくはあるけど。